7月20日(火) 行きの飛行場

 19日に行なわれた城ヶ島(神奈川)のスイム・レースを終え、20日にトラジオン事務所(東京)へレースで使用した器材を運搬して降ろし、午後になってようやく成田ビュー・ホテルに向かいました。ここは帰国した8月2日に泊まるホテルです。空港迄は送迎のバスが出ていて、宿泊者には駐車場代がタダになるらしい。「まったく良い所を見つけたものだ」と思っていました。
 成田空港は普段使っている名古屋空港と違って敷地も広く、入るのにパスポートを見せなければなりません。空港内で国際携帯電話を借り、ゴールド・カードが使えるラウンジでビールを飲みましたが高い。名古屋ならこのカードでタダになるのに何だか入って損した気分です。チェック・インのあと、待合ロビーで今度は飛行機の中で眠る為、同じ品物なのにラウンジよりも安いビールをゆっくりと味わって飲みました。
 チェック・イン時の荷物が2人分で43.7kg。出来るだけ荷物を減らそうと現地調達出来る物は持たずに家を出て来ましたが、それでもスーツケースは満タンで重たかったです。
 成田21:55発、パリ(翌日)04:15着のエール・フランス。飛行機の機内食で、残ったシュガー、ソルト、胡椒、バター、etcは必需品です。未使用の調味料はイギリスで使うため、早々とバッグの中へしまい熟睡しました。
 座席は3人座り。窓側に先生、真中が私、通路側に大きな外人の男性です。そして3人座りはほんとトイレに行くにも気を使います。「あっ、隣の外人さんが立った」。ここぞとばかりに先生と私はトイレへ目掛けて行って、二人とも「ああスッキリした」。
 パリ到着1時間45分位前から朝食が出ました。朝食はたぶん降りる直前に出さないと機内でトイレに行きたがる人が増えるからだと思います。様子を見ると降りる3時間前位からみんながゴソゴソがやがやし出してきて、私も「早く着かないかな」と落ち着きがなくなってきているからでした。


 7月21日(水) 移動〜イギリスドーバー

 04:15パリ着。TGV(フランスの高速列車:全席指定)に乗るシャルル・ド・ゴール空港駅は歩いて7分位の近くです。まだ朝早く、どこも閉まっていました。切符売り場には「6時10分から」と書いてあり、時刻表には"08:25 LILLE-EUROPE TGV5153"と出ていてかなりの時間を待たねばなりません。ベンチは外人用に出来ていて座る位置が高く、座ると私の足は宙ぶらりん。足をブラブラしながら歩いている人の「人間見物」をしていました。
 TGVの切符(シャルル・ド・ゴール〜リール〜カレー)2等2人分を買い、打刻機に自分で切符を入れて日付を打ち、8号車に乗ります。TGVの入口には荷物置場があって、スーツケースを置いてから55番56番に座りました。結構満席です。リール(Europe)駅迄行き、カレー行きの電車に乗るリール(Flandres)駅迄10分位歩きました。10:05発の電車にまたもや1時間位待ちます。この電車は二階建てで初めて乗ります。心ウキウキにして座り窓の景色を眺めますと、とうもころし畑に麦畑が延々と続き、北海道より広く感じました。隣の家に行くのにクルマが必要でしょう。
キン「先生、回覧板回すの大変だね」
 カレーの駅から港まではバスです。ここは2年前にリレーで来たことがある場所です。シーフランスの船11:30発に乗ることが出来、やっとこれでご飯を食べることが出来ます。飛行機を降りてから何も飲んでいないし、食べてもいない。ペコペコだったのです。
石井「キン、何食べる?」
キン「ビール飲むよ。うん、お腹ペコペコ。サンドイッチで良いよ」
 先生はフランスパンで挟んである「一人でこれを食べるんかい」というぐらい大きなサンドイッチを二つ買って来ました。ビールは「ステラ」と言う名前で乾杯をして喉を潤おします。旨い!!
キン「先生、ビール」
石井「よし分かった。今度は違うのを買ってくる」
キン「宜しく」
石井「こっちがクローネンベルグ。こっちがボーガーデン。どっちが旨いか飲んでみよう」
キン「うん」
 最初の一口、不味い! 先生も「不味い」と言っています。
キン「これは、ステラが良いね」
 ドーバーに着き、タクシーでメゾン・デュー・ゲスト・ハウスへ。14:20、やっと着きました。ここはリレーの時に泊まった宿なので懐かしく、ただ変わったのは経営者の人でした。
 さあ、買い物に行かなくては。ドーバーの街は5時に閉まってしまう店が多いのです。
 買い物を終えると夜ご飯はゴールデン・パレス・レストラン(中華)で食べました。このレストランではコース料理を頼みましたが、もうボリュームがあり過ぎてお腹がいっぱいになり、残りをテイク・アウトにしました。そしたら容器代を取られ、「日本ならタダなのになぁ」と損した気分になりました。帰りに"オール・デイズ(コンビニ)"に行って冷たくておいしい「ステラ(ビールの銘柄)」を買い、ゲスト・ハウスで飲みました。もうビールの銘柄、覚えちゃったもんね。


 7月22日(木) 朝食 予定 ビーチ エイトベル 洗濯 夜ご飯

―朝食―
 朝8時朝食、私はイギリスの朝食が口に合いません。リレーの時がそうでした。シリアル、ベーコンの焼いたの、ソーセージ、焼いたパンの上に乗った玉子、豆の煮たやつ、毎日毎日同じメニュー。日本にいる時、「私は朝食はいらない」と先生にお願いしていました。でも先生は、「別の物を用意できるか聞いてみる」と言い、メールでコンタクトを取ってくれていたのでした。
石井「キン、何なら良いんだ」
キン「トマトがあれば良いよ」
 ダイアンさん(宿の奥さん)の返事では、「洋ナシ、トマト、バナナなどをミユキのために用意する」とありました。さあ、何が出てくるのだろう。
 テーブルには最初にオレンジジュースが置いてあって、それからベリーさん(宿の旦那さん)が「コーヒー、または紅茶?」と聞いてきます。
キン「コーヒー」
石井「コーヒー」
 コーヒーが出され、先生は隣のテーブルに置いてあるシリアルに牛乳、砂糖をかけ、ムシャムシャ食べています。それから大きいお皿に、私はマッシュルームの炒めたの、焼いたパンに目玉焼きが乗っているの、そして焼いたトマト。先生はそれに付け加わり、ソーセージの焼いたの、ベーコンがついています。
キン「焼いたトマトなんて食べたことが無い。それにマッシュルームも久しぶり」
 一口食べてみる。旨い。二口目、非常に旨い。「ここの食事はなんておいしいんだろう」と感動していたら、ベリーさんが「トースト?」と聞いてきます。かなりお腹はいっぱいなのに、焼いたパンがまた出てきてバターを塗って食べました。そしてまだあるのだ!
 それはフルーツ。どこのテーブルにも無い、私だけに用意されたフルーツ。リンゴにバナナ、最高においしい食事でした。8時から食べに行ったのに、食べ終わるのはいつも9時。それだけ食べるのに時間が掛かったのです。

―予定―
 今日のドーバーでやること。1時間泳ぐ。銀行で両替(先生の持っているT/Cをキャッシュに替える)。買い物。洗濯です。あとはシャワー・ルームにはバスタブはあるものの、バスタブの栓が無かったので本番のドーバーを泳いだあと、暖まりたいから栓をダイアンさんに用意してもらう(多分水を大切にしているから栓はわざとはずしていると思います)ことです。

―ビーチ―
キン「ダイアンさんにいらないペットボトルがあったら用意してもらって」
と先生に頼みました。
 ペットボトルにお湯を入れておき、海から上がったらそれで頭からかぶるのです。
石井「分かった」
 そしてCS&PFに、「ここのゲスト・ハウスに私たちが到着していることを電話連絡して欲しい」とも頼みました。気を良く彼女は動いてくれ、とても良い人です。
 ペットボトルにシャワー・ルームでお湯を入れてビーチに行きますと、ボランティアのフレッドさんに会いました。先生とは顔見知りです。英語でペラペラしゃべっており、私は泳ぎ始めました。
 いつもお世話になって、魂の入っている中沢先生にもらった"耳栓"を着け、先生の水温計を持って海へと入って行きました。
 水温17.5℃、とても気持ちが良い。左の方へ泳ぎ、また先生のいるビーチ迄泳ぎ、今度は右の方へ、往復してみました。海水はあまりきれいではありませんが、またもやドーバーで泳ぐことが出来るという嬉しさは隠すことが出来ません。1時間程泳ぎ、私が上がるのが分かると先生はサンダルとお湯、暖かい紅茶を持って水際まで迎えに来てくれます。私は「楽しかった」と告げ、先生の行為に甘えますが、この時の泳ぎはあまりキックは打っていません。
 周りを見ると6人グループがいます。たぶんリレーのチームです。「2年前の私はあの中にいたんだなぁ」と思い起こし、ここまで来た私が、今ここにいることに不思議な感じがしました。
 ドーバーのビーチには「海の家」がありません。ここでは「何処でも更衣室」が出来る人のみ海水浴を楽しむことが出来ます。周りを見れば年配の方が上手に着替えてひなたぼっこしたり、泳いだりを楽しんでいます。若者が負けそうになるくらい元気が溢れ、私も皆の更衣を見ながら平気で「何処でも更衣室」が出来るようになりました。日本に帰って出来るかは心配ですが。

―エイト・ベル(パブ・レストラン)―
 ビーチでの練習の帰り際に両替を済ませ、買い物がてら、昼食は得意のエイト・ベルに行きました。ポテトや野菜が大好きな私ですが、食べきれないぐらいの量なので、一人分が二人分となってしまいます。もちろんビールは得意のステラです。
 先生はパンツを日本に忘れてきたらしく、今朝は「代わりに海水パンツをはいておきな」と言っておきました。エイト・ベルの帰りにマーケットに寄ると、パンツがあった、あった。ああ良かった。

―洗濯物―
 7月18日から城ヶ島に行っていましたので、22日までの洗濯物がたくさんたまりました。先生の洗濯物といっしょにコイン・ランドリーに行きます。ここは水を大切にしているのか、日本とは大違いで洗濯物に比べると水の割合が断然少ない。これで綺麗になるのか不思議な洗濯機です。
 洗濯が終わるまで少し散歩をし、洗濯物を乾燥機へ。何だか疲れているのか、乾燥を待つ間私はテーブルの上に手を伸ばし寝てしまいました。

―夜ご飯―
 今日の夜ご飯は先生とも相談し、私が持ってきた日本食(フリーズドライ)を食べようとなりました。でもビールがありません。眠かったのも忘れ、ステラとサンドイッチと水を買ってゲスト・ハウスに戻りました。するとダイアンさんから「明日、10時にビーチに行くように」と指示をされ、私たちは「いよいよ始まった」と意識し始めました。
 ステラを飲みながら日本食「白めし」に湯を入れ、待つこと30分。
キン「先生、カツ丼、玉子丼、中華丼、何が食べたい」
石井「カツ丼」
キン「カツ丼はすぐ出来るから、もう少し待っててネ」
 この丼の具もフリーズドライで出来ており、水か湯を入れて少し待てば出来上がります。
キン「先生のカツ丼が出来た」
石井「うまい、うまい」
キン「良かった。これ、家で食べてると"宇宙食"って言われるんだ」
 やっぱりこういう食べ物は研究されて、味付けされているみたいです。


 7月23日(金) 普段とかわらない朝

 朝8時に朝食。今日はパンの上にスクランブルエッグが乗っており、「ミルクをかけて食べなさい」と指示をされました。そしていつものフルーツ。
 まさか今夜(14日午前2時集合)泳ぎ出すなんて露知らず、普段と変わらない朝を迎えていました。


 7月25日(日) 説明 栄養補給品購入

―説明―
 今日はフリーダさんに「日曜日でスイマーがビーチで練習しているからおいでネ」と言われていました。ビーチへ出掛けるとアリソンさんが見えていて、23日のドーバー1ウエイは12時間30分位で泳いだようです。グリースを塗るのを忘れて首の後ろ、脇の下など擦れが激しく火傷みたいです。こんなひどい状態になるなんて・・・。
 日本の練習で私も6時間泳ごうと思って薄く塗ったら、天気や波の状況が悪く10時間半かかったことがあります。その時も擦れに擦れて痛い思いをしたことがありますが、ソロでドーバーを43回も泳いだことがある経験者です。自分で持って来なかったのか、船に置いてなかったのか、ただ塗り忘れなのか。私には分かりません。

 アリソンのスイム・キャップをかぶって
ご満悦なキンちゃん

 ゴムのスイミングキャップをかぶり、泳ぎ出そうとすると
アリソン「ミユキ、シリコン、シリコン」
キン「先生、シリコンはレース用。一枚しかないし、ゴムは練習用なんだ」
石井「アリソン、ミユキのこれは練習用のキャップなんだ」
アリソン「ダメダメ。練習のときからシリコン・キャップを着けなさい」
と、オレンジ色のアリソンさんがかぶっていたシリコン・キャップを私に手渡してくれました。
思わず嬉しくなり、先生に写真を撮ってもらいました。
キン「ありがとう」
 その間にフリーダさんも見え、
フリーダ「ミユキはどれくらい泳ぐ?」
石井「1時間だよ」
フリーダ「26日(月)、27日(火)は天気が悪い。そのあとだ」
と、次の泳ぐ日を説明し、今度こそは成功させようと先生にいろいろと指示をしてきました。
フリーダ「ミユキにもっとキックを打つように言いなさい。それから栄養補給はもっとしっかり取らせなさい。ミユキは少な過ぎます」
と、紙とペンを持って来て書き出しました。
 1hour maxim & limit sugar
 1hour maxim & limit sugar
 1hour maxim & limit sugar
 1/2 hour maxim & ??????
 1hour maxim & limit sugar
 1/2 hour maxim & ??????
 1hour maxim & limit sugar
 1/2 hour maxim & limit sugar
 字が凄過ぎて「マキシム」と「シュガー」だけは読めましたが、他は理解に苦しみました。
 海から上がり、
フリーダ「ミユキ、足は大丈夫ですか?」
キン「大丈夫です」
フリーダ「もっとキックを打つんだよ。そして栄養補給をたくさん飲むんだよ」
と、英語の分からない私にジェスチャーで説明してくれます。
キン「分かった。今度は初めからキックをし、たくさん飲むよ」
と、ジェスチャーで返しました。

―栄養補給品購入―
 フリーダさんから栄養補給品の指示は受けましたが、分かり難かったので、まずはスーパーの砂糖売り場へ行き同じような字が無いか探しました。たまたま通った人に、
キン「この字の砂糖はどこにありますか?」
通行人「ああ"フルーツ・シュガー"ね。ええと、ここにはないわ」
キン「ありがとう。じゃあこれは?」
通行人「チョコレートだよ」
 チョコレートか。そう言えば泳ぐ前にフリーダさんが「食べなさい」と言っていたあのチョコレートのことかな?
 私たちはチョコレート売り場に行き、探し始めました。
キン「先生、これこれ、"ミルキーウェイ"あるよ」
石井「ああこれか。俺も今日フリーダにチョコレートをもらった。ここに空き袋があるよ。"ミニロール"」
キン「あるよ。それも」
石井「このチョコレート甘いんだよね」
キン「海でどうやって食べるのかね」
 私たちは「ミニロール」と「ミルキーウェイ」を買い、昼食もここで買うことにしました。
キン「先生、"フルーツ・シュガー"ってあの健康食品の売っているお店にあるかもしれないよ。見に行こう」
石井「そうだね」
 私の感は的中し、フルーツ・シュガーもマキシムも売っていました。


 7月26日(月) 静かな平日 反省点

―静かな平日―
 平日、午前中のビーチは日曜の昨日と打って変わって静かです。毎日見掛ける目の悪い男性一人が泳ごうとしていたので、「一緒に泳ごう」と誘いました。でもあまり速くは無い人でした。平日のビーチはいつもと同じ、静かです。
 昼食は昨日の残りを食べようと、コーンスープとビールを買ってゲスト・ハウスへ。
キン「あれ〜、片付けられている」
 残っているはずの食べ物がありません。とてもショックを受けました。
 まあ日本食も持ってきたことだし、軽く食べましょう。
 気をとり戻し、少しゆっくりしてから次はコイン・ランドリーへ。だいたい洗濯時間が把握出来ましたので、洗濯中は町の中を歩いていました。ドーバーっていつも思いますが、人がたくさん歩いています。「みんな仕事しているのかな?」
 終えた洗濯物を持ってエイト・ベルで軽く食事。
 今宵は少しお腹を膨らし、ゲスト・ハウスで飲むことにしましょう。

―反省点―
 ビールを飲みながら、いろんなことを話します。
キン「先生、めがね丸さん(初島で食堂と釣船を経営している。初島〜熱海間を泳いだとき伴走してもらい、食事を作ってもらった)に行きたい」
石井「そうだね。また練習しようか?」
キン「もうドーバーが終わったから泳がないよ。私は足が痛くなって泳げない!」
石井「そうじゃないんだよ。もう足が痛くなるのは分かっているから、改善すれば良いし、仲良く話しかければ良いんだよ」
 先生はトイレに行ってしまいました。
 『そうか、今まで痛くなった時の泳ぎ方を考えていなかった。痛かったら"痛い"だけで終えてしまい、その次が無かったのだ。もう痛くなるのは分かっている。"それから"を考えよう。これが冬の練習で足りなかった部分なのだ。』
キン「先生、キンは泳いでいて船の様子しか分からない。少しでも"今の状況"を教えて欲しい。些細なことで良いんだ。"フランスが見えてきた"とか"あと4/1"とか・・・」
 1回目は4/3泳いでリタイアしてしまいましたが、どれだけ泳いだか、「フランスの白い建物が見える」とか、私には分かりませんでした。
 あと駿河湾で泳いでいる時に写真屋さんの木村さんが私にデッキから"ピース"をしたり、手を振ったり、見続けてくれたりしました。その時は足が痛くても気を紛らすことが出来たのです。
キン「お願いだから私の気を紛らして!」
と、先生に頼み込みました。
 先生は今まで何人かの人を海で泳がしていますが、私みたいな人は「始めてだ」と言います。
 先生にもっと知ってもらいたい。先生と生徒、船で一緒にドーバーを渡る以上、お互いに分かり合いたい。甘えているのかも知れませんが、先生が居ないと私はドーバーを渡れないと思っています。"二人三脚"なんだから・・・。
 栄養補給でもわがままを言う私。こんな私に先生はいつも一生懸命尽くしてくれていました。ありがたいことです。
 先生、いつもありがとう。


 7月27日(火) ドーバー・グッズ(土産)

 ドーバーのリレーで参加した時に"グッズ"を買った覚えがあります。
キン「フリーダさんが見えたら"何か買い物がしたい"と伝えて」
と、先生に頼みました。
 フリーダさんとアリソンさんは仲間の販売用グッズが積んだクルマを呼んでくれ、私はTシャツやトレーナーなどを買いました。
 アリソンさんやフリーダさんはビーチの人気者です。いつも誰かさんと話をしています。そして明日、ソロで泳ぐテキサスから見えた人を紹介されました。背が高く、ごつく、お腹も出ており、ちょっとお腹に触りたくなりました。
 『今日は火曜日。テキサスの人が水曜日に泳ぐなら、私は木曜以降だな。お肉を食べなくちゃ!』
 昼はケンタッキーを1セット(チキン3本、ポテト、コーラ)買いました。
先生「トイレに行きたい。ずっと我慢していたんだ」
キン「いいよ。コーラ飲んで待ってる」
と、ベンチに座って人間見物をしていました。
 『ドーバーの人ってだいたい一家族に三人は子供が居るんだよな。それに子供が大きい! 大きな赤ちゃん? 子供? 乳母車、壊れんのかな? こんな大きな子を乗せて・・・』
 犬が歩いて来た。『先生そっくり!』
キン「ハルジー、ハルジー、かわいいネ」
と、声をかけ、上を向くと先生が立っています。どうも聞こえたらしい。私が笑っていると
先生「ハルジーじゃない!」
と、頭を軽く叩かれました。
 夜はあまりお腹が空いていないので、散歩がてらに遠回りをしながら買い物へ。サンダルを飛ばしながら歩いていたら、勢い余ってサンダルが川に落ちてしまいました。
先生「も〜、キンは〜」
と、先生は川に中に入りサンダルを拾ってくれました。
 お騒がせな私です。もうサンダルなんて飛ばしません。


 7月28日(水) 泳ぐ前日 

 フリーダさんに「明日の朝8時に港へ来て下さい」と言われました。いよいよです。
 いつもの練習で気持ち良く泳いでいると、黒いウェットを着た人がいました。「ああ、ドーバーは寒いからウェットを着て泳いでいるんだろうなぁ」と近づくと、黒人でした。なんだかビックリしました。
 ビーチではメキシコの女性チームが着替えていました。ひなたぼっこをしながら観察していると、グリースをアイスクリームの芯のような少し長い棒で背中、脇の下などを塗りたくっています。「そうか、私はビニールの手袋で塗っているが、こういう手もあるんだ」と、「だてに泳ぐだけじゃないな」と思いました。
石井「キン、あれ、見てみん。"トップレス"だよ」
キン「始めて見た。恥ずかしくないのかな?」
 ドーバーで見たのは始めてです。先生は嬉しそうに「フランスではトップレスが多く、日本人は胸が小さいので似合わない」と言っていました。私が泳いでいる時からひなたぼっこをしていたようです。
 ちょっとエッチな先生との練習のあと、マキシムを買って日本に送りました。マキシム2kgと梱包の箱と送料で1万円くらい掛かってしまいました。
 夜はゴールデン・パレス・レストランのテイク・アウトで"スペシャル・ライスとスープ"、そしてビールです。
 先生は買い出しに行き、私は明日の準備に取りかかっていました。


 7月29日(木) ドーバーってこんなもの ドーバー城

―ドーバーってこんなもの―
 07:45、タクシーに乗り港へ。ニールさんが一人船で待っていました。「今日は他に誰も居ないのかな?」
ニール「昨日テキサスから来たスイマーを渡らせたが、イギリス側は波が静かで順調に6時間で行けた。しかしフランス側は大荒れで10時間も掛かった。今日も天気が悪い。明日、9時に来てくれ」
と、疲れた眼で言いました。どうやら今朝帰って来たようです。
我々「はい。分かりました」
 ドーバーっていつもこうなのです。天気次第で船が出るか出ないかはパイロットの決断なのです。私たちは明日泳ぐことになりました。「本当に明日、大丈夫か。明日を逃がしたらもう泳げないんだ」
 またタクシーで帰ろうと港で待っていますと、一人の日本人女性にお会いしました。彼女はロンドンに住んでいると見えて、旦那さんがイギリス人だそうです。彼女自身「こんなところで日本人にお会いするなんて・・・」と言いながら、「ヨットでフランスからイギリスに来た」と言っていました。「フランス側は風があって楽だったが、イギリス側は静か過ぎてエンジンを回した」と。「なるほど」と感じると同時に、久し振りに日本語を話した気がしました。
 タクシーが来てゲスト・ハウスへ。
石井「キン、今日はドーバー城へ行こう」
キン「泳がなくていいの?」
石井「いいよ」

―ドーバー城―
 歩きやすい格好をして11時の観光バス(二階建てオープンデッキ:1時間に一回ずつ巡回しており、途中乗り降り自由)に乗り、ドーバー城へ。
 今日は非常に暑いです。レストランに涼みに入リましたが、値段が高過ぎます。アイスコーヒーを飲みたいのですが、ホットしかありません。仕方がないから高いビールを一本ずつ飲んで、その後いろんな建物に入りました。
 14:50予約のガイド・ツァーでシークレット・トンネルに入り、終わって出て来たら少し遅れたので慌ててバス停に行ったのですが、3分前に帰りの観光バスは行ってしまったあとでした。そこへちょうどタクシーが来たので、それに乗ってビーチまで行きますと、凄い人だかりです。今までこんな喧騒を見たことがありません。「もう夏休みに入ったのか?」


 7月31日(土) ビーチで

  昨夜はあまり眠れませんでした。朝7時ころに起き、シャワーを浴びました。
 フリーダさんに「10時ころビーチに来なさい」と言われていたので、洗濯物を持って先にコイン・ランドリーに行き、洗濯機を回してからビーチへ行きました。
フリーダ「ミユキ、トライアスロンをしているんだって。当分はスイムだけに絞りなさい。そしてもう少し英語の勉強をしてきなさい」
キン「はい」
フリーダ「来年は1ウエイ、それから2ウエイ。それまでもっとキックの練習をして、インターバルをやって速くなりなさい」
キン「はい」
 前にリタイアした人がランナーで、「足が痛くなってやめた人がいる」と聞きました。
 『そんなにトライアスロンの練習はここ1年、していないんだけどなぁ〜。私はキックが得意なんだけど、もっとするのかな? 要は"もっと速く泳げ"と言うことなんだよな。あとフランスまで2〜3kmの地点だったら流されてもグリネ岬にたどり着いていたから・・・。あと5kmの地点で足が痛く、その泳力ではダメだったんだ・・・』
 一生懸命泳いだので悔いはありませんが、達成できなかったのは事実です。『もっと練習しなくては・・・』
 ケティさんが泳いでいます。今日は5時間泳ぐそうです。1時間ごとに戻って来ては、コップ一杯の栄養補給を飲んで、また泳ぎ出していました。「感心した。刺激を受けた。ケティさんだけではない。他のスイマーもみんな5時間泳いでいるのだ」、フリーダさんの存在もかなり大きいようです。「みんな、練習する姿を見せてくれてありがとう」
 洗濯が終わりそうな時間になったので、コイン・ランドリーで洗濯物を乾燥機へ。そして再びビーチに戻りました。フリーダさんに「来年また来る」と告げ、氷とゴールデン・パレス・レストランのテイク・アウト"スペシャル・ヌードル"とビールを買い、洗濯物を抱えながらゲスト・ハウスに戻りました。
 夜はとにかく持って来た日本食、全てをいただき、最後の夜を迎えました。


 8月1日 お見送り

 いつもと変わらない朝食を取ったあと、荷物をまとめ、10:30、ゲストハウスを出ました。家族の人全員が出てきてくれ、「また来年来る」と告げ、あとにしました。

 私の夢は、来年に向いて始動し始めていました。




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